ご挨拶
公益社団法人日本産業衛生学会 九州地方会のサイトをご覧いただき、ありがとうございます。
このたび、九州地方会長を拝命いたしました。歴史ある本地方会の運営を担うこととなり、その責任の重さを改めて感じております。微力ながら、産業保健のさらなる発展に尽力してまいりますので、何卒ご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
九州地方会は、昭和11(1936)年に八幡製鐵所病院長 植村卯三郎先生を初代会長として発足し、以来、日本の産業構造の変遷とともに歩んできました。かつて九州は、日本の重工業の中心として発展し、その後もさまざまな産業の発展を支える地域としての役割を果たしてきました。そして今日、地域に根差した産業保健活動の重要性はますます高まっています。
現在、九州地方会の会員数は868名(2025年3月現在)を数え、その約半数が福岡県に在住しています。他の県の会員数は30~70名程度にとどまり、地域人口を考慮すると、より多くの産業衛生専門家の参画が期待されます。特に、中小企業や一次産業従事者を支える産業保健の充実は喫緊の課題であり、地域ごとの実情に応じた産業保健システムの構築が求められています。今後は会員数1,000名を目指し、さらなる発展を図ってまいります。
地方における産業保健活動の活性化は、九州地方会にとって極めて重要な課題です。そのためには、地域医師会の協力を仰ぎながら、地域ごとの特色を活かした産業保健活動の推進が求められます。特に、産業医の選任義務がない従業員50人未満の事業場に対する産業保健サービスの提供は、地方の産業保健を支える上で不可欠です。こうした中小事業場に対して、産業保健の知識や支援を届ける仕組みを構築し、産業医や保健師、地域医療機関との連携を深めながら、労働者の健康維持・増進に貢献していきたいと考えております。
また、近年では、産業医や産業保健看護職、衛生管理者、作業環境測定士だけでなく、歯科医師、リハビリテーション技師、薬剤師など、多様な専門職の関与が増えてきています。これにより、口腔衛生の改善や職場における身体機能の維持・回復、薬剤管理の適正化など、より包括的な産業保健サービスの提供が可能になってきています。今後も、こうした専門職の方々との協力関係を深め、産業保健の発展を推進してまいります。
また、九州地方会ホームページでは、学会員の皆様のご意見・ご提案、研究業績、学会開催予定、各部会の活動や研修会の情報発信を引き続き強化してまいります。同時に、「地方会ニュース(産衛九州)」を通じて、皆様の実践的な取り組みや研究成果を広く共有する場を提供したいと考えております。
さらに、2027年春には北九州市において、日本産業衛生学会第100回大会が開催される予定です。この歴史的な大会を成功へ導くためにも、福岡県のみならず、九州・沖縄各県の産業保健の強化が不可欠です。産業保健活動のさらなる発展を目指し、皆様とともに取り組んでまいりたいと存じます。
今後とも、九州地方会の活動に対するご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。